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創った電気をハウスで活用!「オール電化」という未来農業のかたち。

創った電気をハウスで活用!「オール電化」という未来農業のかたち。

今後、スマート化が進む農業の現場では、エネルギーコストの問題が付きものだ。ソーラーシェアリングで創った電気を売るのではなく、オール電化の農作業システムで効率的に自家消費する「電創ハウス」。未来型農業を実践する現場を訪ねた。

売電ではなく自家消費へオール電化型の水耕栽培

頭上に広がるのは、まるでトマトの森……。全国でも珍しい、トマトの水平型水耕栽培は、通常、縦に伸びていく枝葉を横に茂らせることで、光合成効率を向上させる農法だ。旨みが増すだけでなく、立ったまま作業ができるため労力削減にも繋がるというメリットを持つ。この最先端の農法を、ソーラーシェアリング搭載のオール電化型ビニールハウス「電創ハウス」で実現させているのが、太陽光発電工事を手がける「株式会社エーピーシーメンテナンス」である。

「売電型以上に、自家消費型のソーラーシェアリングこそ、これからの農業には必要だと考えています。オール電化に伴う高額なエネルギーコストを自家発電で賄い、農作業を自動化することで安定的に良質な作物を作っていく。その未来型農業のモデルとして作ったのが『電創ハウス』です」と、代表取締役の大村淳さん。

ぶどう棚のように同じ高さに実を付けるため収穫の労力も少ない
写真左が「電創ハウス」。右はソーラーシェアリングでのブルーベリー栽培。作業時期が異なるため、トマトとブルーベリーは同一農園で栽培するのに適している
太陽光ブレーカーで出力値を計り、発電量を管理。本社へデータを転送している
現在は4品種のトマトを栽培。JA、道の駅、スーパーなどに卸している

ハウス上部に100Wのソーラーパネルを84枚設置している「電創ハウス」では、温度調節から灌水まですべてを電気で賄う。天窓と側窓を自動開閉して換気を行い、エアコンと換気用ファン、そしてミスト噴射機を利用して、ハウス内の温度を自動管理。水耕栽培の要である液肥は、年間を通して水温を一定管理するタンクから各苗へポンプを使って供給している。また、発電量と使用量は常にデータとして記録され、リアルタイムで本社に送られる仕組みだ。

今後は蓄電池を導入予定で、季節による発電量の違いに左右されることなく、さらに安定的な稼働が可能に。独立電源として災害時でも電気が利用できるようになる。

「計画中の第2農園ではメロンなどの高収益作物も栽培予定です。日本の農業とエネルギー問題を同時に解決するような、未来型栽培システムを提案しつづけていけたらと考えています」。

代表取締役の大村淳さんは、一般社団法人ソーラーシェアリング協会の代表理事も務める第一人者だ。
場所千葉県市原市
設備容量8.4kW
土地面積515㎡
導入年月日2018年7月
年間の売電収入17万円 ※FIT制度は使わずに余剰電力のみ売電
パネルの下で育てている作目トマト(総収穫量3300kg)

Photo&Text: Yukiko Soda


出典:EARTH JOURNAL(アースジャーナル)vol.06 2018年
販売サイト(https://earthjournal.jp/information/33791/

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