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reportレポート

取材 福島大学 金子信博

福島大学・金子信博先生の実験圃場を見せていただきました!

「アメリカやヨーロッパでは、ミックスカバークロップと言って、何種類も組み合わせて使っていますよ。アメリカだと、ダイコンを使うことも普通です。なるべく多くの分類群の植物を使って、例えば、イネ科の植物だけでなくアブラナ科とかタデ科のソバも使いましょうとか、そういう世界になってきているんです。つまりは、何のことはない、土を肥沃にするミミズが生きていけるような自然の草原に近づけているだけなんですけどね。ただそれじゃ時間かかりすぎるんで、我々は、カバークロップのタネを蒔いてその環境を作るわけです」(金子先生)

「(カバークロップの)ライ麦は10月ぐらいに蒔くんですが、今すぐ始めたいなら、ひまわりとソバとえん麦、大根を混ぜて蒔けば、秋までにすごい土ができると思いますよ」(金子先生)

堆肥についても、興味深いお話が。この実験圃場では、米農家でさえ廃棄していることもある「糠(ぬか)」と「籾殻(もみがら)」、そして畑の土を混ぜて堆肥化、使用しているのだそう。

「廃棄している農家も結構多いんですが、毎年出るものなんだから、堆肥化してリサイクルしていった方が、農業にとっても環境にとってもいい。そして僕みたいな(農業の)素人が堆肥を作るのに、理想の副材料なんです。失敗がないですから。糠って精米時に出る玄米の皮の部分と胚芽でしょ? 微粉末だから、微生物が利用しやすいんですね。籾殻については、燻炭(くんたん)にする話もよく聞きますが、私は堆肥化する方がいいと思っています。水田で最近稲が弱くなってきてるのは、ケイ素が足りないせいです。それは元々ケイ素を多く含んだ籾殻を捨てるから。ケイ素が入っている籾殻を捨てておいて、ケイ酸肥料を施すっておかしいと思いませんか?」(金子先生)

圃場を見せていただきながら聞く先生のお話は、目で見える土の話から、土中の微生物の話、元素の話など科学的かつミクロなものから、海外の農法や現在の状況などマクロなものまで、ダイナミックで知見に飛んだもので、時間はあっという間に過ぎていきました。

Information

金子信博氏
プロフィール(福島大学農学群食農学類生産環境学コース):
https://search.adb.fukushima-u.ac.jp/Profiles/3/0000230/profile.html

個人ウェブサイト:
https://nobuhirokaneko.wixsite.com/nobuhiro-kaneko

TEXT:畑山護之
2022.07.21.

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