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取材 学校法人自由学園 副学園長 佐藤 史伸

不耕起栽培に見るこれからの農業

不耕起栽培に見るこれからの農業

千葉県匝瑳市にアウトドアブランドのパタゴニアが運営するソーラーシェアリングがあります。パタゴニアは言わずと知れたアメリカ発の企業で、環境に配慮した商品の開発・販売や環境活動に注力していることでも知られています。そんなパタゴニアが運営するソーラーシェアリングの下では、不耕起栽培による大豆の栽培が行われており、今回、大豆の収穫作業に訪れた学校法人自由学園の生徒と副学園長の佐藤氏に話を伺う機会を得ました。

不耕起栽培とは

最近、リジェネラティブ農業(環境再生型農業)という言葉を多く耳にします。リジェネラティブ農業とは 、土壌を修復・改善しながら自然環境の回復を目指す農法で、保全型農法、回復型農法などと呼ばれることもあります。

一般的な耕起栽培は耕耘のたびに土壌環境がリセットされてしまいますが、リジェネラティブ農業における農法の1つである不耕起栽培では、耕耘を行わないことで作業を省力化できるだけでなく、土壌に堆積した有機物の集積により、豊かな土中環境が見込めるとして様々な研究が進んでいます。

作物を栽培するための土には、もともと植物が光合成の過程で地中に固定した炭素が存在します。耕起栽培では、耕耘の際、好気性細菌が活性化し二酸化炭素が発生し、空気中に放出されます。さらに土を耕すことで多くの有機物が混ざり合い、均衡状態で維持されていたものを人工的に壊し、土壌環境はリセットされてしまいます。それを補うために肥料をまく……。その繰り返しがいわゆる一般的な農業でした。
一方で、環境への負荷の少ない不耕起栽培は、土の持つ力を最大化し、持続可能な農業へシフトしていくための大きな可能性を秘めている農法として注目されています。

農業の「当たり前」を変える体験

佐藤氏は2018年にパタゴニアから出版されたブックレット「環境社会イニシアチブ」(https://issuu.com/patagoniajp/docs/2018_eib_japan_web)に掲載されていた不耕起栽培に関する記事を目にして以来、不耕起栽培をはじめとする、リジェネラティブ農業について関心を持っています。

自由学園ではもともと「食と農の学び」を理念として掲げ、幼稚園から始まるどの段階の子どもたちもキャンパス内に自分たちの畑を持ち、二十日大根、サツマイモ、大根、カブ、白菜、オクラ、トマト等の野菜を栽培し、豚やニジマスの飼育も行なっています。
これまで自由学園ではいわゆる一般的な農法による作物の栽培が行われてきましたが、“どれだけ畑に足音を聞かせるか”という教えが表すように、どれだけ畑に通い、除草をし、土を耕し、病害虫から作物を守るか、が栽培のセオリーでした。

ところがこのリジェネラティブ農業はその真逆で、佐藤氏がこの農法について探求し始めた当初は、こんなやり方で本当に作物が育つのか不安だったそうです。いかに土に手を加えず、その可能性を高めるか。佐藤氏はそんな疑問の答えを探るべく、不耕起栽培を学校の探求型授業として取り入れ、そのフィールドワークの一環として、この土地を訪れました。

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