reportレポート
取材 学校法人自由学園 副学園長 佐藤 史伸
不耕起栽培に見るこれからの農業
これまで、いくつかのリジェネラティブ農業を実践する圃場を訪れたという佐藤氏は「この大豆畑は作付けを含め今年2回しか手を加えていないんです。それでこの収量を確保できるなんてほんとに驚きです」と目を輝かせました。
不耕起栽培では、耕起栽培のように単年で収益や収量を見込むことが難しいですが、年数を重ねるごとに土中環境が豊かになり、収量は増えていきます。それだけでなく、そこに生息する生物の自然サイクルの中で殺虫剤に頼らなくとも病害虫の影響を受けにくくなるといいます。ここで大豆を育てているのも、マメ科植物の根に見られる根粒菌の作用により、空気中の窒素をアンモニアなどの窒素化合物に変換し、土中に固定する(窒素固定)ことで、化学肥料に頼らずとも土中環境を改善する作用があるためです。
佐藤氏は、温室効果ガスを削減しつつ、省力で行えるこのリジェネラティブ農業を、学生たちにフィールドワークを通じて体験してもらい、これからの日本の農業に広めていきたいと語ります。参加した学生の中にはすでに農業を志す人もおり、彼らの中での「当たり前」に大きな転換点ができたのでは、と期待しています。
2021.12.23
TEXT:三浦道也
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